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院長コラム
子どもの矯正はいつからが適正?日本矯正歯科学会認定医が教える「成長の黄金期」の活かし方
愛知県豊明市で矯正歯科専門医院を運営しております、日本矯正歯科学会認定医の森川 敦です。
「うちの子の歯並び、いつ相談に行けばいいのかしら?」 これは、親御様からいただくご質問の中で最も多いものの一つです。街を歩けば矯正装置をつけた小学生をよく見かける現代ですが、早ければ早いほど良いのか、それとも永久歯が生え揃うまで待つべきなのか、その判断は非常に難しいものです。
子どもの矯正は、単に歯を並べるだけではなく、「顎の成長」という一生に一度のチャンスをいかにどう活用するかが鍵となります。今回は、認定医としての私の知見に基づき、子どもの矯正治療を始める「適正な時期」の考えをお話しします。
1. 矯正治療を始める「適正な時期」とは?
結論から申し上げますと、一般的な適齢期は小学校3年生〜4年生(9歳〜10歳頃)であると私は考えています。しかし、お口の状態によっては、それよりもずっと早い段階で介入が必要なケースもあります。
1-1. 「なるべく早く」相談すべき緊急性の高いケース
たとえ小学校低学年であっても、以下のようなケースでは早急な受診をお勧めしています。
- 明らかな受け口(反対咬合): 下の歯が上の歯よりも前に出ている状態です。これは放っておくと下顎の成長を過剰に促してしまい、将来的に骨格的な問題(外科手術が必要なレベル)に発展するリスクがあります。
- 重度のデコボコ(叢生): 歯が並ぶスペースが圧倒的に不足し、歯茎の変な場所から歯が生えてきているような場合です。
- 顎のズレ: 噛んだ時に下顎が左右どちらかに大きくズレる場合、顔の歪みに直結する可能性があります。
これらのケースでは、乳歯が残っている段階から治療を開始することで、骨格のバランスを整え、将来の負担を大幅に減らすことができます。
1-2. なぜ「3〜4年生」が一般的な適齢期なのか
緊急性が高くない場合、私が小学校3〜4年生を推奨するのには、身体的・精神的な2つの理由があります。
- 永久歯への生え変わりのタイミング: この時期は、前歯が永久歯に生え変わり、さらに「6歳臼歯」と呼ばれる大きな奥歯がしっかり生え揃う時期です。お口全体の将来の形が予測しやすくなるため、精度の高い治療計画が立てられます。
- 本人の協力度(精神的な成熟): 矯正治療は、歯科医師だけでなくお子様本人の協力が不可欠です。装置を指示通りにつける、丁寧なハミガキをする、といった自己管理が必要です。3〜4年生くらいになると、治療の必要性を理解し、「歯医者さんで落ち着いて受診できる」精神的な落ち着きが出てきます。無理に低年齢で始めて歯医者嫌いになってしまうよりも、本人が理解して前向きに取り組める時期を待つ方が、結果としてスムーズに治療が進むのです。
2. 小学生の時期(一期治療)の目的:将来「抜かない」ために
小学生の間の矯正治療を、専門用語で「一期治療」と呼びます。この時期の最大のミッションは、将来的に永久歯を抜かずに済む土台を作ることです。
2-1. 歯並びを「拡げる」という考え方
大人の矯正と子どもの矯正の決定的な違いは、「顎の骨が成長過程にある」という点です。 現代のお子様は、柔らかい食べ物が増えたことなどにより、昔に比べて顎が小さくなる傾向にあります。しかし、生えてくる歯のサイズは変わりません。「小さな椅子に大勢が座ろうとして溢れている」のが、ガタガタの歯並びの正体です。
そこで小学生の間は、取り外し式や固定式の装置を用いて、顎の横幅や前後径を適切に拡げていきます。
- スペースの獲得: 顎を拡げることで、永久歯が綺麗に並ぶための「駐車場(スペース)」を確保します。
- 非抜歯の可能性を高める: 子どものうちに十分なスペースを作っておけば、中学生以降の本格的な治療になった際、健康な永久歯を抜くリスクを最小限に抑えられます。
2-2. 装置の種類と選択
装置には、ご自身で取り外しができるタイプ(床矯正装置など)と、歯科医院でしっかり固定するタイプがあります。
- 取り外し式装置: ハミガキや食事がしやすいメリットがありますが、装着時間を守らなければ効果が出ません。
- 固定式装置: 確実に力をかけ続けることができますが、ハミガキに工夫が必要です。
どちらを選択するかは、お子様の歯並びの状態や性格、ライフスタイルに合わせて、親御様と相談しながら慎重に決定していきます。
3. 中学生の時期(二期治療)への橋渡し:仕上げの重要性
小学生の間に顎を拡げ、歯を並べるスペースを作ることができても、それだけで100点満点の仕上がりになるとは限りません。
3-1. ワイヤー矯正による最終調整
小学生の間の治療で土台が整った後、永久歯が全て生え揃う中学生前後の時期に行うのが「二期治療」です。
- ワイヤー矯正での仕上げ: 多くのケースでは、ブラケットとワイヤーを用いた装置を使い、個々の歯の傾きや高さ、そして上下の緻密な噛み合わせを調整していきます。
- なぜ中学生でワイヤーなのか: 永久歯の根っこが完成する中学生時期は、歯の移動のコントロールが非常にしやすく、一生モノの噛み合わせを構築するのに最適なタイミングだからです。
小学生の間の「スペース獲得」が上手くいっていれば、この二期治療は非常に短期間で、かつスムーズに終わります。
4. 矯正治療がもたらす「成長」と「自立」
私は、小児矯正は単なる医療行為ではなく、お子様の心の成長を促すプロセスでもあると考えています。
4-1. 自分の体に責任を持つこと
装置を毎日つける、鏡を見てハミガキをチェックする。これらは小学生にとって簡単なことではありません。しかし、治療を通じて自分の歯を大切にする意識が芽生え、自己管理能力(セルフマネジメント)が養われます。これは、将来どのような道に進むにしても役立つ、大切なライフスキルになります。
4-2. 笑顔が自信に変わる
思春期を迎える中学生にとって、歯並びのコンプレックスが解消されることは、計り知れない自信に繋がります。思い切り口を開けて笑えること、ハキハキと喋れること。これらは、お子様の対人関係や学習意欲にもポジティブな影響を与えます。
5. 認定医としての私の哲学:何を目指すのか?
歯科治療には「マイナスをゼロにする(虫歯を治す)」治療と、「ゼロをプラスにする(より良い自分になる)」治療があります。矯正治療は、間違いなく後者です。
5-1. 一生涯の歯科治療費を節約する
よく「矯正は高い」と言われますが、私は逆だと考えています。 子どものうちに正しい歯並びとハミガキ習慣を身につければ、将来的に虫歯や歯周病にかかるリスクが激減します。大人になってから歯を失い、インプラントや高額な入れ歯にお金をかけることを考えれば、小児矯正は「生涯の歯科治療費を節約するための最も賢い投資」なのです。
5-2. 親御様へのメッセージ
大切なのは、「お子様にどのような人生を歩んでほしいか」という視点です。 整った歯並びは「一生使える最高のギフト」です。それは見た目の美しさだけでなく、一生自分の歯でおいしく食べられる健康と、何事にも自信を持って取り組める心を与えてくれます。
6. まとめ:まずは「気楽に」ご相談を
子どもの矯正治療に「遅すぎる」ことはありませんが、「早めに知っておいて損をする」こともありません。
3〜4年生が適齢期とお伝えしましたが、それはあくまで目安です。お子様一人ひとりの生え変わりのスピードや顎の成長には、大きな個人差があります。
- 今すぐ始めるべきか?
- もう少し様子を見ても大丈夫か?
- 将来、どの程度の治療が必要になりそうか?
これらを判断するのが、私たち矯正認定医の役割です。
お子様の歯並びについて少しでも気になることがあれば、当院まで気楽にお問い合わせください。
専門医としての客観的なデータに基づき、お子様の未来にとって「今、何がベストか」を、親御様と一緒に誠実に考えさせていただきます。
当院では、患者様により便利にご利用いただくため、Eパークよりネット予約を導入しています。
⭐24時間いつでも予約が可能⭐
お仕事帰りや家事の合間など、時間を気にせずご自身のタイミングで予約をお取りいただけます。
お電話がつながりにくい時間帯でも、スムーズにご予約が可能です。
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